手紙

早起きして工作する。切ったり貼ったり、好きなものをちょっと入れてみたり、手紙を書くことが工作で、友だちに言葉以外のなにかを伝えようとしたこと、前はよくあった。もっと伝えられるように、芸術家になりたかった。
工作に凝ったおかげか、言葉の部分は意外とさらりと書けた。リボンの頃からずっと苦戦していたのに。
文章を考えていると、モーニング娘。の歌が、つぎつぎと浮かんでくる。
「うれしい出来事が増えました」
「笑顔の君を見ると元気が出るよ」
「今日は、本当に、あなたに会えて、あなたに会えて私、うれしかった」
なんと通俗的な、と思う。でも芸術的であることよりわかりやすいことが大事なわけで、それは歌も手紙も同じだ。まっすぐな歌を歌いつづけるよっすぃ〜が好きになったから、私も臆面もなく「好き」「好き」といえる。

日頃、音楽と言えばクラシックしか聞いたことがない者が、恋愛すると、流行歌に感動するようになったりするのは、何ら不思議ではなく、恋愛とはもともと、そのレベルの現象だからである。
岸田秀恋愛論」『ものぐさ精神分析』中公文庫