吉澤ひとみ・里田まいカジュアルディナーショー@広尾ラ・クロシェット(撮影・握手会)

黒い幕のなかは時空が歪んでいてほとんど記憶にない。「こんにちは」(こんばんは?)とあいだに迎えられてすぐに光が飛んで、右を向くとピンクの里田さんが手を両手で包んでくれて「すごい笑顔で、すごく楽しかったです」と主語のわかりにくいコメントに「ありがとうございます」とうなずいてくれ、あわただしく左を向くとそこには細くて遠くて完全に次元の違う吉澤さんがいてふわりと手を握りあって、「いつも励まされてます」と必死に訴えても「ありがとうございます」という返事はなんだか困惑しているようで、何か続きを、と思ったら後ろから「はい、ありがとうございました〜」とおじさんに追い立てられて、そのままふたりの顔も見ずに退散した。
あー!
この幕さえ通り抜けなければ、幸せな気持ちで帰れたと思うよ。
よっすぃ〜きれいだった! 顔も声も! こっちもちょこちょこ見てくれたし!」
ですんでいたはずなのに、へたに自分をさらしてしまったために一気に落ち込んでしまった。
家に帰り着いてから覗いたポラはやっぱり写真写りが悪くて、もはやじゃがいもだった。
顔も声も吉澤さんじゃない、そして友達にもなれなさそうな、相手にされなさそうなじゃがいもは、この先どうやって生きていこう? 意味がない! と思春期のようにもんもんとする。
他の女ヲタの方々はみんなきれいだった。トイレで化粧直ししているところは完全に結婚式の二次会みたいで、でも「よっすぃ〜」「よっすぃ〜」連呼しているのがおかしくて、でもきれいだった。それがますます悲しみを募らせる。
自分が吉澤さんじゃないってことがこんなに苦しいなんて。
せめて顔だけでも。