吉澤ひとみスペシャルワンマンライブ at STB139(後半)

長い。

LOVE涙色

あやや! わおーんでカエラとカラオケしてたのを思いだす。さらにいつかのお正月に物まねしてたのも思いだす。あそこまでの顔まねはなかったけど、振りもしっかりやって、楽しそうだった。ロックやバラードなら誰でも歌えても、アイドルソングはアイドルにしか歌えないよなあ、とあらためて思った。Tシャツにカーゴパンツで「と・ま・ら・な・い」って歌ってても、ちっとも気持ち悪くないもの。つい「L・O・V・Eラブリーよっすぃ〜」と声をかけてしまった。アイドルらしくしたくて。

ダディドゥデドダディ!

「これは最初の、チャラッチャラッ・チャラッチャラッ・チャラッチャラッチャッチャ・どすーん! のコンサートで(前半はハッピーサマーウェディングのリズム)歌っていた曲で、すごく思い出深いです。この辺がフリフリになってるスカートで、踊るとフリフリ揺れて、『あーもうっ』って感じで。で、後ろはバッと開いてすぐ脱げるようになっていて、袖にはけたらバサッ! フー! って。早着替えも何度もやりました。どんどん脱いでいくから、一番下は水着みたいなのを着てるんですよ。いや、私にはあまり水着は回ってこなかったですけどね、梨華ちゃんなんか、こーんなんで、まあ私はお腹まで隠れるような……カミングアウトします、太ってました! これで皆さんもすっきりしたでしょ? まあ、今は幸せにやってますけど……、いえ、そのころも幸せでしたけど」
うん、でも今が一番幸せでしょう? ハピサマの頃より、さくら組の頃より、SSAでの卒業式より、白虎隊より、今、こうしてソロライブをやっているこの瞬間が、今までで一番幸せでしょう! と、言いたくなるくらいに、今の吉澤さんはしっかりしている気がする。もう私の応援なんていらないじゃん、とすねたりもしたけど、こうやって親密な空間で過ごしていると、よっすぃ〜にはこういう時間も必要なんだと思える。彼女が懸命に歌う姿に目をうるませ、立ち振る舞いに胸を焦がすことこそ、私の仕事なのでは、とさえ思えてくる。
サビで一緒に人差し指を掲げるのが楽しかった。こんなささやかなしぐさがうれしい。振りコピも原点は愛なんだ。吉澤さんもしきりに「今日は皆さん踊れなくて」と言っていて、淋しいんだなと思った。
人差し指なんて何度も一緒に掲げてきたけど、今日は吉澤さんだけを囲んでいるからね。気持ちはもうふたりきり。ソロライブって、一対一なのね。

その出会いのために

「最後の曲は」というフレーズになんとなく「悲しみトワイライト」を連想したけれど、「今夜こうして皆さんと一緒に過ごした縁を大切にしたくて、選びました」と言われて、あれかとわかった。ちょっと決めすぎじゃないの、泣いちゃうかもよ(私が)、と身をよじっていたけど、始まってみるとちっとも泣かなかった。吉澤さんは楽しそうに歌っていた。
SEXY 8 BEATでは黄色いドレスからか細い足をのぞかせて、心細そうに、絞りだすように歌っていたのに、今日は堂々としている。そうか、もうあの日の先に来たんだ、と腑に落ちた。歌詞は変わらないけど、あの歌を歌っていた「今宵」は終わって、過去として振り返って歌っている。当時は「毎日元気でいるから 未来も笑顔だわ」と無理に言いきかせていたのが、現実になった。もはや悲しい歌じゃないんだ。
「今宵」が過去になっていくさま、「未来」が今になっていく軌跡を、ここにいる人たちはみんなで分かち合ってきた。出会いは続いてきた。

HANABI

ミスムンに始まり「その出会いのために」で終わるという、卒コン以上に卒コンのようなセットリスト。これが「吉澤プレート」なんだ。いつも変化球で王道を避けているような吉澤さんだけど、今日はラーメンに揚げパンに好きなおかずをばしっと揃えてくれた。捨て曲なし。一曲ごとにやりたいことがはっきりある感じ。
「今日のカクテルに"HANABI"と名づけたのは、まずは花火が好きだからです。今はもう九月で残暑ですけど、夏は花火を見に行くのが好きなんです。でも、終わると淋しいじゃないですか。大勢でぞろぞろ歩いて移動させられたり、手持ち花火でもごみを片づけたりして。それでもまたやりたいと思いますよね。それってやっぱり花火が楽しいからですよね。だからこのライブも、終わったら淋しいけど、またやりたいな、また来たいな、って思ってもらえるような時間にしたいと思って、花火という名前にしました。あとは、打ち上げ花火が好きだから! 線香花火は苦手なんです。ひゅー、どかーん! って、打ち上がりたい。今日は盛り上がるぜ! っていう意味もこめて、つけました」
と、途中に話していた。変化球を投げるのは、終わったあとに淋しすぎないように、だったのかもしれない。卒業式で周りが泣いていても笑いをとるのは、全員で打ち上がっちゃうのが怖かったのかもしれない。でも、繰り返していけばいいじゃん、出会っていけばいいじゃん、って思えるようになったのね。吉澤さんが石川さんくらいやりきっちゃうようになったら、すごいんじゃない? と、また新たな期待が生まれてきて、これからもまだまだ見てやる、と決める。